母乳が出ない、足りない‥‥その原因は?母乳育児が軌道にのるまでにできること
こんにちは!
助産師さきです。
今回は母乳のお話。
『母乳が増えないんです・・・』
そんな悩みを持つママさんって、本当にたくさんいらっしゃいます。では母乳が少ない原因とは、どんなことが考えられるのでしょうか?
原因がわかれば、きっと対処法がわかってくるはずですよ!
母乳の量が赤ちゃんの必要とする量に足りない‥‥その原因は大きく分けて2つあります!
①母乳は作られているけど、赤ちゃんがうまく飲み取れていない
ひとつ目の原因は、母乳は作られているけれど、以下の原因で赤ちゃんが効果的に飲めていないために『必要量を吸い出せていない』というパターンです。
①おっぱいを深く咥えられていない
②1日の授乳の回数が少ない
③1回の授乳時間が少ない
④早産や体重が小さいことでおっぱいを飲む体力がない
⑤なんらかの病気がある(口腔疾患、心疾患、神経疾患など)
特におっぱいが良い姿勢で“深く”咥えられていないと『吸っているようにみえても、実は母乳がうまく出ていなくて飲めていない』ということがあります。
以前こんなエピソードがありました。
『よく吸っているのに体重が増えないんです』というママさんからのご相談。母乳が1回にどれくらい飲めているか体重を測ってみると、よく吸っているように見えても実際には10gしか飲めていませんでした!
そこで、大きいお口でおっぱいを深く咥えさせるようにお手伝いをさせていただいただいたところ、たったそれだけの工夫でなんと5倍の50g飲めた!!なんていうこともあったんです。
まさに、母乳は作られているのに効果的に飲めていなかったパターンですね。
母乳というのはおっぱいの外に吸い出されることで、おっぱいの中が空に近づくと『もっと作ろう!!』という働きがおこり量が増えていきます。
そのため、何らかの理由で溜まっている母乳がおっぱいの外に出しきれないと『頻繁に飲ませているのに母乳の量が増えない』ということになってしまいます。
②母乳分泌自体が少ない
母乳の産生量そのものが、以下の理由により少ないという事もあります。
①乳腺の発育不全
②乳腺や授乳に関与する神経が損傷している(乳房の手術など)
③ホルモン異常
④胎盤組織が子宮の中に残っている
割合としては多くはありませんが、こういった原因で母乳をうまく作れない場合もあります。
とくに悪露(おろ)の量がずっと多く減らない場合などは胎盤が残っていることもあり、処置により残っていた胎盤を出すことで母乳分泌が良くなるケースもあります。
【母乳育児を軌道にのせるポイントは?!】
『母乳を増やすために○○をしよう!』という情報がネット上にはたくさんあります。
アレもコレも試したのにうまくいかない‥‥という声をよく聞きますが、実はネット上に書いてある『母乳を増やす方法』の多くは、医学的根拠に基づいて書かれた母乳支援者向けの本には載っていないことばかりなんです。
どうせなら、アレもコレも頑張るよりは、根拠があり効率良く母乳を増やせる方法を優先して行ってはどうでしょうか。
母乳を増やすために最も大切なことといえば『1日に8回以上は母乳をおっぱいの外に出して、おっぱいの中を空に近くする』
もう、ほんと!
これに尽きます!!!
前述したように、吸っているように見えてもおっぱいが上手に咥えられていないと、実は母乳が効果的に吸い出されておらず溜まったままになってしまうことがあります。
ポイントは
①大きい口で乳輪ごと、深くおっぱいを咥えさせる
②授乳は〇時間おき!など回数を制限せずに、赤ちゃんが欲しがるだけ授乳をする
③5分ずつなど時間を制限せずに、赤ちゃんが満足するまで飲ませる
④早産などで赤ちゃんがうまく飲めないときは、必要に応じて搾乳をして母乳を外に出す
ということです。
しかし、そうはいってもなかなかうまく咥えさせらないというママさんもいらっしゃいます。
『熟練した支援者とともに適切な授乳を行っても、赤ちゃんが必要なとするほどの母乳分泌が得られない』割合は、報告によって0〜15%とされています。
これはあくまで、熟練した支援者とともに行った場合です。
サポートを受けなかったとしたら、母乳分泌が十分に得られないママさんの割合はこれより増えると考えられます。
だから、ひとりで悩まないでほしいんです。
うまくいかないよ〜!!と思ったら、ぜひ助産院や母乳外来でサポートをしてもらってくださいね。
母乳育児をしたいと思っているママさんみんなが、楽しい授乳ライフになることを願っています!
【参考】
・よくわかる母乳育児 水野克己他
・母乳育児支援スタンダード第2版 編集 NPO法人ラクテーションコンサルタント協会
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